備忘録の愛想

つきないように

他社の担当者氏名と取引情報を送信、痛恨のミス

20代後半の時、責任が伴う仕事を任されたことがありました。大きなプロジェクトで高額取引だったので、大規模なシステムも導入されていました。しかし、そのシステムは欠陥が多く、それを動かす私のハンドリングで事なきを得ている毎日でした。

 

私の毎日の作業いかんで大きなミスに発展する可能性が大きく、システムの修正を依頼するも作業代金を上乗せ要求され、会社が渋っていました。このままじゃハンドリングでミスが起きる!とヒヤヒヤしながら毎日を過ごしていましたが、とうとうその日がきてしまいました。

 

医療業界のクライアントの担当者を取り違え、取引の内容が記載されたPowerPointを送付してしまいました。送信プログラムを使っていたのでこちらはまったく疑いもせず、担当者からのクレームで発覚しました。

 

サーッと血の気が引き、心臓が耳のそばでバクバクと音をたて、お尻の穴がキュキュキュッとなりました。顔が硬直し、体の体温が抜けました。やってしまった、よりによって医療業界のような特殊なクライアントに誤送信をしてしまった、という思いが頭の中をグルグルと駆け回りました。

 

狭い業界のため、担当者の名前が漏れるなどという失態は責任をとって退職になってもおかしくないのですが、事業部長が先方に出向き謝罪することでミスを収めてもらいました。もともと欠陥システムを使っていたこと、システム改良を考えていた(ということにした)ことを説明して納得してもらったそうです。

 

社内的には、当初からシステムの欠陥を指摘していたにも関わらず対応しなかったとして、上長の処分だけで済みましたが、欠陥システムであろうがなかろうが実際に動かしていたのは私ですから、相当なショックで1週間ほど眠れませんでした。

 

謝罪に行った部長にお詫びをしにいくと、「たぶん、俺が若い頃にミスして300万円の穴をあけたのと同じくらいのショックかもしれないが今後は注意しろ」と笑って言われました。そんな部長の励ましが余計に落ち込ませました。

 

実作業は自分であり、でも自分のせいだけではない理由もあることで本当に痛かったです。予期できたトラブルだっただけに、会社組織の対応の鈍さやよりによってという後悔ばかりでした。

 

このトラブルから20年もたっていますが、担当者の氏名と取引情報が流れたという痛い経験は忘れられませんし、企業から個人情報が漏れたというニュースを聞く度に思い出してしまいます。